土砂崩れに飲まれた祖父と伯父 ~ひよこの聞き語り(19)

今年はあちらこちらで大雨の土砂崩れやらなんやら、大変な被害が出ています。

一箇所が落ち着いたら次は他の場所で警報、の繰り返し、本当にどうなってるんでしょう。
幸いにも当地方では被害らしい被害は出ていないようですが、ほんの少し北に行くと同じ県内でも大雨が降っていたようです。

「あっちこっちで土砂崩れとかあって怖いね」

と、父親と話していたんですが、ふと思い出しました。

父親が子供の頃、いなかでも水害があったんだそうです。
うちの父親が小さい頃なので、もう80年ぐらい前になります。

その時に、まだちびだった父親は家にいたんですが、祖父と父親のすぐ上の伯父さんがタバコの葉っぱを入れてあるタバコ小屋の様子を見に行って、そこで土砂崩れに飲み込まれました。

運良くどちらもすぐに土砂崩れから逃れて出て来ることができて助かったんですが、すぐに入院してしばらく病院にいたそうです。

祖父からはそういう話を聞くことはできませんでしたが、伯父さんが話してくれたのは、

「退院してからもしばらく、咳をしたりすると木片とかがどこかから出てきた」

んだそうです。

幸いにも飲み込まれた大部分の人が助かったんですが、1人だけ女性の方が行方不明になりました。

あっちこっち探したんですが見つからず、行方不明になってから一週間だか十日だか経った頃、

「あそこに人魂が出る」

と、噂になったところを探してみたら、そこから見つかったんだそうです。

オカルトとかではなく、人間は死んで腐っていく途中でリンが出てきて、それが燃えたようになって人魂が出る、というのが本当だった、と父親が言ってました。

「一度死に損なった人は長生きする」

と言われるんですが、祖父は96歳まで、伯父さんは88歳まで生きたので本当かも知れません。

でもやっぱり土砂崩れは怖いです。
「まだ大丈夫だろう」ではなく、「もしかしたら」と早めに逃げること、を心がけるようにしないといけない、とあらためて思いました。

大きな台風も近づいてくる可能性があります。
少しでも被害が少なくありますように。