進駐軍がくれたコーラ ~ひよこの聞き語り(17)

少し前に風邪をひきました。

喉が気持ちが悪いので、炭酸が飲みたい。
飲んだら喉がすっきりするんです。

昨日はペプシの「ストロングゼロ」を買って来て飲んですっきり♪
普段はあまりジュースや炭酸を飲まないんですが、こういう時にはおいしいですね。

久しぶりにコーラを飲んだら思い出したことがありました。

戦後、母親が広島県の竹原市から神戸に戻ってきて、転校した学校に行きだして親友ができた頃のお話です。
昭和二十年半ばぐらいですか。

当時、祖父の勤め先は進駐軍に接収されていて、職場内に進駐軍の事務所のような場所があったようです。

ある日、母が友人達と一緒に祖父の職場に行ったことがあるそうです。

その時に、半地下のような部屋に通されたそうなんですが、しばらくするとアメリカ兵の一人が、祖父の娘が来ているから、とコーラを入れたグラスを持って来てくれたとか。

母と友人はその時に初めてコーラを見たんですが、当時のコーラって今よりもっと、なんと言うか「薬臭い」ようなにおいがしたんだそうです。

見た目は真っ黒だし、妙な臭いがするし、

「これ、毒とちゃうの・・・」

友人達と飲むかどうか相談したんですが、もしもアメリカ兵がグラスを取りに来た時に口をつけずに残ってて怒らせるのは怖いし(当時はまだアメリカ兵に対してそういう印象だったらしい)、かと言って飲んで死んだら怖いし、とかなり悩んだんだとか。

そして、その半地下の部屋の窓、窓のすぐ下が外の地面ぐらいだったそうですが、そこに中身を全部ぶちまけて、「飲んだふり」をしたらしい(笑)

しばらくして、アメリカ兵がグラスを取りに来たのでお礼を言ってグラスを返したんだそうですが、

「よく考えたら中の氷も全部外にほってしもたから空っぽで、おかしいと思ったかも」

と言ってました(笑)

朝ドラの「梅ちゃん先生」で戦後、「本物を知ってる人は少ないから」とコーラの偽物を作って売るエピソードがあったんですが、それを見て、母が生きてたら面白がっただろうなあ、と思いました。

まあ氷は食べてしまうこともあるから、そう不思議には思わなかったかも知れませんが、せっかく親切に出してくれたコーラ、疑って捨てられたと知ったら出してくれた方は悲しかったかも知れませんね。
だから、氷ごと全部飲んで食べた、と思ってくれてたら、と思います。