「キグチ」を持って汽車から落ちる~ひよこの聞き語り(42)

前回(「田舎のニュースは早い~ひよこの聞き語り(41)」)で「風早」に疎開中だった母が汽車通学をしていた時のエピソードを書きました。

今回も母が汽車に乗ってた時のエピソードなんですが、疎開先のことだったのか、神戸に戻ってからのことだったのかちょっと忘れてしまいました。

エピソード的には疎開先での出来事っぽいんですが、当事者が母が神戸に戻ってからのお友達っぽいのでちょっとはっきりしません。
う~ん、妹が覚えてないかなあ。
今度聞いてみるか

笑い話に近いですが、下手したら大事故になってたかも、という話。

戦時中のドラマを見てると持ち手のところが木でそこに布を縫い付けたようなバッグ、見覚えありませんか?

「木口バッグ」

というバッグです。

調べてみたら始まりは昭和15年(1940年)の婦人雑誌からみたいですね。
今回調べるまで知らなかった。
文字通り、木を削って作った持ち手に布を縫い付けたバッグです。
戦時中から戦後まではやったようで、今もあるのはあるみたいですが、普通のバッグほど見かけたりはしませんね。

母も当時通学とかにこのバッグを持っていたそうです。
なんか、他のバッグも持ってたように聞いた気がするんですが、なんにしても通学バッグ以外にもサブとして持ってたりしたのかも。

そのバッグを持って汽車で通学していたのは母だけではありません。
大部分の女子学生が同じようなスタイルで汽車通学でした。

田舎の汽車は本数が少ないです。
乗り遅れると次まで何時間もあったり、場合によると翌日までなかったりする。

ある時、みんなで汽車に乗って出るのを待っていたら、お友達が一人、

「待って待って」

と、動き始めた汽車を追って来た。

「はよ、はよきんさい!」

みんなでゆっくりと動き初めた汽車の後ろからそのお友達を呼んでたら、走りに走って汽車に追いつき、「やあ!」とばかりに汽車の後ろのデッキ部分に飛び乗った!

飛び乗ったのはよかったんですが、そのお友達、両手にその「木口バッグ」を持ってたんです。
飛び乗ったものの、両手にバッグ、汽車のどこかにつかまることができず、そのまま後ろに倒れて落ちてしまった!

「危ない!」

みんなの目の前で汽車から落ち、線路の上に仰向けに倒れたお友達、少しすると立ち上がって線路の上、なんとか大ケガするすることなく無事だったようでみんなでほっとしたそうです。

無事でよかった。
「恥ずかしかった~」で終わった笑い話になってますが、下手をしたら頭を打って命を落としてたかも知れません。

もしもバッグの持ち手が「木口」じゃなくて腕にかけていられたら、空いた両手でどこかにつかまって落ちることはなかったかも知れません。

流行の服装で健康を害したり命を落とす。
当時は流行と言ってもそれしかなかったわけですが、なんとなく今でもありそうなことだなあと思ってしまいました。

ななめ掛けバッグだったら両手が空いてよかったけど、「木口バッグ」の方がかわいかったのかも。
乙女心だなあ。

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