「べっぴんさん」タグアーカイブ

戦後の元町 ~ひよこの聞き語り(15)

今朝の「べっぴんさん」で戦後の元町の風景が出てきました。

「出てきた」と言っても、「空襲で焼けなかった」という話と、町らしき風景が出てくるだけですが(笑)

母親とその一家は戦後この「元町」に住んでいました。
元々、戦争が始まるまでは「上筒井」というところに住んでいたんですが、軍に「接収(国や軍に取り上げられること)」されて荷物を借りた家に移すまではそこでした。

今も、私の本籍地もそこになったままです。
戦争と戦後の混乱で変更することがないままきてしまったのか、それとも、いつかはそこに戻ろうと思っていたからか、母の本籍地がそこのまま残っていたもので、四国から神戸に来た父親もそこを選び、私の姓になったクマ旦那さんも自然にそのまま、今は「神戸市中央区~~」の住所のままです。
ちなみに、今はそこはテニスコートになっています。

とにかく、「上筒井」に住んでいたんですが家を取られることになり、それをきっかけに祖母と一番上の伯母と伯母の娘、二番目の伯母、母と叔父が上の伯母の夫の実家のある広島の竹原市に疎開することになりました。
祖父は仕事があるのでそのまま神戸に残ることになったんですが、その家に元々の荷物を移したらその夜に空襲があり、皮肉なことに移った先の家が焼けてしまいました。
長男である伯父は大学があって京都にいたので、女子供だけが疎開することになったんです。

戦後、理由は分かりませんが、元の「上筒井」ではなく「元町」に家を構え、疎開先から戻った母達もそこで生活することになります。
当時、母は高校生で、そこで高校を卒業し、就職し、就職先で父親と知り合って結婚して家を出るまで「元町」に住んでいました。

「元町」の家もその後再開発で立ち退くことになります。
「元町」で住んでいた家の跡にも行ったことがありますが、今は駐車場でした。
えっと、そういう場所にばっかり住んでたみたいですね、今はテニスコートだの駐車場だの(笑)

今もそうですが、当時も「元町」は商店街で、少し離れたところに「さくらバー」という飲み屋さんがあり、そこにはアメリカ兵とかも来ていたようです。
今ではビリヤード場と言いますが、当時は「玉突き場」と呼ばれていたようで、点を入れるたびに「いって~ん、にて~ん」と、そろばんのような点数つけ?をはじく女性の声が聞こえていた、とか。

「アメリカ兵がどこかのお店と間違えて、靴のままで家に上がってきてびっくりした」ようなこともあったようです(笑)
以前書いた(「アメリカさんと祖母」)、祖母がアメリカ兵に「ママサンベビサン?」と呼びかけられたのもこの「元町」の家です。
アメリカ兵が来ると「ハローが来た」と言っていたというので、ごく普通に「元町」をアメリカ兵がうろうろしていた時代だったんでしょうね。
ドラマでもアメリカ兵がちらちら見えるでしょうか?

「上筒井」は住宅地のようで、「竹原」はいなか、そこから商店街に引っ越したんですから、一気に賑やかな場所になりましたね。
裏に住んでいたちょっと個性的な住人さんとの話も聞きましたし、祖父も祖母もその家で亡くなってますから、母から聞いたかなりの話がこの「元町」が舞台だったりします。

「べっぴんさん」のヒロインは、この「元町」から「ファミリア」の第一歩をスタートします。
母達が戻った頃にはもう「元町」で商売をされていたようですので、ひょっとしたらすれ違ったり、場合によっては仕事で接触があったかも知れません。
何しろ会社の近くでしたし。

これからどんな「元町」が出てくるか分かりませんが、母がいたら、ドラマを見ながら色々話せたかもなあと思います。
父も、昭和二十年代半ばからの「元町」を知っていますから、ドラマを見ながらああだこうだと話すのを楽しみにしています。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 [ NHK出版 ]
価格:1188円(税込、送料無料) (2016/10/19時点)

神戸の空襲と戦後の女性の生き方 ~ひよこの聞き語り(14)

朝ドラの「べっぴんさん」を毎朝楽しみに見ています。

前回の「とと姉ちゃん」の時には西島さんの「とと」を見て祖父を思い浮かべたんですが、今回は人物じゃなく、やはり神戸の話で神戸の空襲から母や祖母のことを思い出しました。

「祖母のことを思い出した」と言っても、私が生まれるよりずっとずっと前、まだ母が若い頃に亡くなった祖母にはもちろん会ったことがありません。
なので全部まさに「聞き語り」になります。

今日の「べっぴんさん」では神戸に空襲があり、ヒロインが生まれ育った家が焼けてしまいました。

うちの母親は生まれ育った家は焼けなかったんですが、「接収(国や軍に取られること)」された家、母が育った家(生まれた時はここだったかどうかちょっと分からないので)から荷物を移した先の家が焼けて、結果的に荷物がほとんど焼けてしまいました。
疎開先(一番上の伯母の夫の実家)に送ったわずかばかりの荷物が残ったのみです。

焼け跡で呆然とするヒロインを見て、うちの母やその家族もこんな感じだったのかなあ、と考えました。

それから、来週の予告で、ヒロインの初恋の人で、今は実の姉の夫になっている人に、

「これからは女性も自分の手で稼いでいかないといけない」

と、言われてるシーンで祖母のことを思い出しました。

祖母は、一応「奥様」と言われる立場だったらしいのですが、そもそもが苦労人で生活力があった人だったので、戦後、自分が作った「塩あん」のおまんじゅうなんかを闇市で売り、稼いだこともあったようです。

来週から、それまでは家で守ってもらうだけだったお嬢様のヒロインが生きるために働く姿を見たら、多分祖母のことを思い浮かべるんだろうな、と思いました。

うちの祖母は自分で会社を起こしたりはしてないけど、生きるために、子供達のために自分ができるだけのことをした人でした。
もちろんこれも聞き語りですが。

映画やドラマは、自分が経験はしていないけど間接的に見たり聞いたりしたことを補完してくれる効果もあると思います。
来週から、ヒロインが必死にがんばる姿を見て、自分の中の想像の祖母や母達のことに重ねていくことになるのかも。

戦争のこと、戦後のこと、ドラマや記録映像や、色んなことで見聞きしますが、舞台が神戸ということで、より一層身近に感じている私です。