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小町だった曽祖母 ~ひよこの聞き語り(22)

前回まで書いてた広島から神戸に出てきた曽祖父母ですが、これは母の父の両親の話です。

残念ながら、それ以外は全くどういう人だったのか聞いた記憶がありません。
「没落して広島から神戸に来たこと」と「長男を早くに亡くしていること」だけです。

今日は母の父方ではなく、母の母方の曽祖母のことをちょっとだけ書きたいと思います。
この方のこともほぼ知らないんですが、母からちょろっとだけ聞いてることがあるのでそのことを。

母の母の母である曽祖母は、どうやら美人だったそうです。
元々が明石の造り酒屋の娘で、若い頃は「江井ヶ島小町」と呼ばれていたそうです。

その小町さんがどういう経緯で神戸に嫁いだのかまでは分かりませんが、明治も後半ぐらいの時代のことなので、多分お見合いじゃないでしょうか。

ただ、うちの母親は、この曽祖母、母から見た祖母とはあまり合わなかったらしいです。
母が小学生の頃に亡くなったので、合うとか合わないとか言う以前じゃないかと思うんですが、少なくとも母は「嫌いだった」と言ってました。

どうして嫌いだったかと言うと、今はあまり使ってはいけない言葉を投げられていたから、だそうです。

うちの母は、私が知ってる大人になった母ですが、よく歌ったり踊ったりしてました。
どっちかと言うと陽気な人だと思います。

ただ、子供の頃はかなり難しい子供だったらしい。

例えば、母の兄弟姉妹は全員、そして私や妹も「生田神社」の氏子で、伯父伯母達は小さい頃にお祭りで「お稚児さん」をやってたらしいのですが、幼い母だけは断固として「嫌」と言ってやらなかったとか。
高校時代には演劇やってたり、大人になってからは社交ダンスやったりしてたらしいので、とっても信じられませんが、とにかくそういう子供だったとか。

そして曽祖母と会う時にもほとんど口をきかなかったらしい。

あまり今は使っていい言葉ではないんですが、時代的なことで、具体的にそう言われてたらしいので書きますが、あまりに話さないので、曽祖母からいつも、

「おまえはおしか?」

と、言われていたんだそうです。

会う度に言われ、

「それで余計に口をきかなかった」

と言ってたので、孫にそういうこと言う祖母も祖母なら、孫も孫だと思いますが、まあ、そういう感じだったとか。

それともう一つ、これは母の父方か母方かはっきりしないので、もしも祖父の母である曽祖母の話だとしたら、小町の曽祖母には大変申し訳ない間違いになるんですが、どうもこの方だったんじゃないかなと思うので、もう一つエピソードを書きたいと思います。

母には姉が2人と兄が1人、そして弟が1人います。
上から、女、男、女、母、男の順番なんですが、その1番目と2番目の間に1人か2人、そして上の伯母と母の間でも1人亡くなってるいるそうなんです。
1番上の伯母と2番めの伯父の間は7つ開いていて、その間で亡くなったのが男の子で、母のすぐ上で幼いうちに亡くなったのは女の子でした。
なので母は少なくとも4女になります。

その段階でまだ下の叔父は生まれてなかったので男の子は2番目に生まれた長男の伯父だけです。

そして4番目の女の子の母を産んだばかりの祖母が、まだ床上げもしてない時に曽祖母が、お祝いを言いに来てくれる見舞客に、

「また女ですわ」

と繰り返し言っていて、それを耳にした祖母はいたく傷つき悩んだらしいのです。

私の中ではそれもその小町の曽祖母だとずっと思っていたので、「美人だけど性悪な人」なイメージができてしまってます。
そもそも、祖父の両親の話は最初に書いた2つ以外聞いたことがない。

それでも、まだ戦前か戦時中のことですが、その曽祖母が亡くなる時にお小遣いをくれて、

「動物園にでもいっといで」

と言われ、多分下の叔父と2人でだと思うのですが、今はないけど諏訪山の動物園に遊びに行き、帰ってきたら亡くなっていたらしいです。

本当はどういう人だったのかなあ、もっとおじちゃんおばちゃん達にも聞いておけばよかった。
さすがに高松のおじさんは覚えてないと思うし。

ちなみに、その曽祖母の出身の明石のM酒造ですが、合併して今はそこそこの大きさの酒造会社の一部になっているのではないか、と聞いています。

私が高校の頃、まだ大伯母達が存命の頃、江井ヶ島にあるお墓の話をしていたので、あの時によく聞いておけば、ご先祖のお墓参りに行けてたかも知りませんね。
うちの母親は場所を知らないそうで、一番上の伯母だけが「江井ヶ島のおばあさまの家に行きました」と作文に書いてたのを知るばかりです。

どこにあったのかなあ。
広島はすぐに行ける距離じゃないけど、江井ヶ島は日帰りできるところなので、知らないうちに血縁のある親戚とすれ違ってる可能性もあるのかも、と思うと、ちょっと変な気持ちになったりしますね。

あ、最後の最後ですが、私には小町の片鱗もございませんのであしからず(笑)