下駄でタップダンス ~ひよこの聞き語り(34)

寒いですね、一気に1月末の気温だとか言われてますが、本当に寒くて堪えます。

外に出て寒くても、帰ってきて暖房を入れて「温かい家にいられてよかったなあ」と幸せです。
お風呂にも入ってほっこりしてさらに幸せ。
風邪っぴきですが、少しずつ治ってきて、これまた幸せです。

そういう小さい幸せを感じながら、ふと母方祖母のことを思い出しました。

祖母、小さい幸せを大事にする人だった、と私は思いました。

特に教育があるわけではない人ですし、何か信仰してたわけでもないですが、「分け与えるということを知ってた人」だと、私は色んな人の話を聞いて思いました。

今はもういなくなったと思いますが、昔は「おもらいさん」という人がよくいたようです。
まだ戦後間もない頃の話ですけどね。

そういう人が来ると、祖母は、自分の家もそうなんでもかんでもあるわけじゃないけど、とにかく食べ物だとか何か物、場合によってはお金もあったのかなあ、そういうのをあげていたようです。
自分は特に贅沢する人じゃないし、何かを欲しがる人でもなかったみたいですが、困った人をほっとけない人でもあったのかも。

一度そういう人にあげたら、やっぱりネットワークと言うんですかね、「あそこに行くと何かもらえる」と、ちょこちょことそういう人が尋ねてきていたとか。

そしてある年、祖父が死の床についてる時にもやっぱりそういう人が来たんですね。

祖母が玄関に出て行って、確か古い服か何かをあげたと聞いたように記憶してます。

そうしたら、その「おもらいさん」がすごく感謝して、

「返せるものがないから、せめてこれを」

と、玄関で、下駄を履いてタップダンスを始めたんだとか。

あれ、ひょっとしたら、その下駄をあげたんだったかな?
何しろ、身に付ける物だったように記憶してるんですが、そのへんが曖昧で・・・

とにかく、状態としては、部屋の中では祖父が亡くなる少し前です。

「もういいから」

と、祖母が返そうとするんですが、申し訳ないからと、しばらく踊ってから帰っていったそうです。

困っただろうなあ。
どういう気持だったかなあ。
おじいちゃんんの耳にもタップの音、聞こえただろうか?
おばあちゃんのこと、しょうがないな、と笑ったかなあ。

色んなことを考えてしまいます。
悲しい時のことですが、一応、ちょっと笑ってもいいんじゃないかな、と思います。
祖母の人柄が出てる話、と私は思ってます。

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